2024.02.10 コラム
桑は古くは、平安時代に宮中医官を務めた鍼博士・丹波康頼が撰した、日本に現存する最古の医学書『医心方』の第30巻食養篇には、桑の実は、その第二章 五菓の部に桑椹として記載されています。
『中葯(薬)大辞典』では、クワ科のマグワ(別名シログワ)の実を桑椹として記されており、『本草』では、蘇敬の「味は甘に属し、性は寒、無毒である。これを食べるだけで消渇を主治する」という説を載せている、と書かれています。
また、孟せん(ごんべんに先)は「性は微寒である。これを食べればその滋養で五臓の機能をととのえ、聴力や視力をはっきりさせ、関節のぐあいをよくする効能を持ち、経絡や血液の循環をよくし、精神活動にも良い効果がある」といっている、とも書かれています。
縄文時代から自生していたことがわかっている桑の木ですが、薬効が知られたのは4世紀ころではないかと言われています。
その後鎌倉時代に栄西が記した『喫茶養生記』には、飲水病には桑の粥、中風には桑の粥、桑の湯、桑を煎じた桶で沐浴、不食にも桑の粥、瘡(皮膚の吹き出物)も桑の粥、桑の湯を服用、脚気には桑を使うとのみ書かれています。
桑の粥は桑の木の枝を小さく裂き、黒豆と煮たのち桑を取り除いて米を加えほぼ一昼夜煮て空腹時に服用するのだそうです。
桑粥を服用することはすべてあらゆる病を治す効能があると書かれています。
昨今、桑の葉茶が血糖値をコントロールする働きがあることが知られるようになってきましたが、桑の実にも同じ働きがあることはあまり知られていません。
これからこちらのコラムで、少しずつ知り得た情報を公開していきますので楽しみにお待ちください。